扶養控除は誰が対象?利用できる金額は?年末調整や確定申告までに覚えておこう!

今年も年末調整の時期がやってきましたね。
2023年から扶養控除の一部が変わっているので、年末調整や確定申告までに確認して覚えておきましょう!
- そもそも、扶養控除ってなに?
- 扶養控除って誰が対象になる?
- 扶養控除で利用できる金額は?
年末調整なら会社が扶養控除を計算してくれますが、自分でも確認することが大切です。
確定申告をするなら、扶養控除のことを知って上手に利用しなければ、もったいないことこの上ない!!
今回は、扶養控除について詳しく解説しているので、16歳以上の子どものいる保護者の方や、親の生活を支えている人は、節税に繋げるためにも、ぜひ参考にしてみてください。
扶養控除の対象となるのは誰?

扶養控除の対象となるのは、配偶者を除く4つの区分に該当するひとです。
- 16歳以上19歳未満の人、または23歳以上70歳未満の人
- 19歳以上または23歳未満の人
- 70歳以上の人
- 70歳以上で、所得者や配偶者の直系尊属で同居をしている人
これらに該当しないひと、つまり16歳未満の子どもを持つ親は、そもそも扶養控除を利用できないということになります。
理由は簡単で、15歳となって最初の3月31日までは、児童手当が支給されているからです。この児童手当の支給対象から外れた子どもは、扶養控除の対象となります。
子どもを養ったり、年金で生計を立てている親や親族などを扶養している場合、経済的に負担が大きくなってしまいますよね。
そこで、「該当するひとは税金の負担を軽減しましょう」という扶養控除の制度で、所得控除の1つとなっているのです。
年齢ごとの負担を想定した扶養控除額は、条件を知っていないと凄くもったいないことが起きてしまいます。
「実は扶養控除は使えなかった・・・」
「え?扶養控除使えたの?」
そんなことになりかねないので、ぜひ節税のためにも扶養控除が利用できる条件を覚えておいてください。

なぜ扶養控除が必要なのか?と思った方はコチラ!
扶養控除が利用できる条件とは?


扶養控除を利用するにあたって大切な条件は6つあります。
- 生計が同一である
- 配偶者以外の親族である
- 16歳以上である
- 所得控除が48万円未満である
- 青色申告者の事業専従者として給料をもらっていない
- 30歳から69歳の場合、日本国内に住んでいること<2023年から>
「扶養している」と言えるのは、これらに該当しているひとです。
特に、2023年から新しく追加された「30歳から69歳の場合、日本国内に住んでいること」については、子どもが海外留学などを考えているときに、必ず覚えておきたいポイントとなるので、確認しておいてくださいね。
生計が同一であること
生計が同一であることが扶養控除を利用できる条件です。
扶養とは、経済的な援助をしているということになり、扶養している人のお財布で生計を維持しているなら、それは生計が同一であることを意味します。
ところで、生計が同一と聞くと「同居」だと考えてしまっていませんか?
実は、別居でも同一の生計とみなされる場合があります。
- 進学のために一人暮らしを始めた子どもへ、生活費や学費を援助している場合
- 入院中の親の生活や入院費を支えている場合
- 子どもは社会人だけれど仕送りをしている場合
- 余暇など定期的に帰省し、生活を一緒にしている子どもや親



仕送りって辛いよねぇ・・・
扶養控除は、同居の親族だけでなく、普段は別居している親族も対象となることを覚えておいてくださいね。
配偶者以外の親族であること
配偶者は、「配偶者(特別)控除」があるので扶養控除の対象外となり、扶養控除をの対象となるのは「6親等にあたる血族」と「3親等にあたる姻族」の親族です。
- 血族:所得者の親族
- 姻族:所得者の配偶者からみた親族



6親等って、誰が入るん?
普段は気にすることのない親族関係を、図で確認しておきましょう。


本人(所得者)が、これらに該当する血族や親と、生計を同一にして暮らしていると、所得者が扶養控除を利用できることになるのです。
16歳以上であること
扶養控除の対象となるのは、扶養控除を利用する年の12月31日時点で、16歳を迎えている人以上の年齢である必要があります。
16歳未満(中学生以下)は、児童手当制度によって15歳になって初めて迎える3月31日まで児童手当の支給対象となっているからです。
余談ですが、児童手当は居住する市区町村で認定を受けることにより、原則、毎年6月・10月・2月の年3回、保護者に支給されます。
高校生に進学し、児童手当を受けられなくなったら、扶養控除の対象になると覚えておきましょう。
所得金額の合計が48万円以下であること
健康保険で扶養に入るためには、所得が一定以内であることが必要ですが、扶養控除にも所得金額の制限が設けられており、年間所得が48万円以下であることが条件となります。
扶養控除の48万円とは、所得であって給料ではありません。
年収に言い換えれば103万円以下となり、所得税がかからない年収が条件となっているのです。



103万円の壁と言われる「税金の壁」です。
たとえば、大学生の子どもがアルバイトで年収110万円の給料をもらっている場合、扶養控除を利用できません。かわりに、年収130万円以内のアルバイト収入なら、勤労学生控除を利用できます。
税金に大きく影響する「〇〇の壁」が気になる人は、以下の記事を参考にしてみてください。
青色申告者の事業専従者として給料をもらっていないこと
青色申告者の事業専従者とは、家族である個人事業主に雇用されて働いている状況のことで、給料をもらっている働いている親族を対象として、扶養控除を利用できません。
所得者本人が、個人事業主として親族を雇用して給料を支払っている場合は、給料の一部を個人事業の経費である「専従者控除」として、事業所得の金額から差し引くことになります。
専従者控除と扶養控除は併用することができないため、個人事業主は注意しておきましょう。
ちなみに、同じ個人事業主であっても白色申告者の場合は、事業を手伝って働いている親族に給料を渡していなくても、扶養控除を利用することはできません。
30歳~69歳の場合、日本国内に住んでいること<2023年から>
1年以上、海外に住んでいる親族は「国外居住親族」といい、扶養控除を受けるためには2つの書類が必要です。
- 所得者本人と海外に居住する親族の関係を証明する「親族関係書類」
- 所得者が海外に居住する親族へ生活費などの送金実態を証明する「送金関係書類」
さらに2023年からは、国外に住む30歳~69歳の親族を対象として、原則として扶養控除を利用することはできなくなりました。
ただし、次の3つのうち、いずれかを満たす場合には「国外居住親族」として扶養控除を利用することが可能です。
- 親族が障がい者である
- 海外留学をしている親族
- 生活費または教育費として、所得者が海外へ住む親族に対して、1年間で38万円以上の仕送りをしている



これまでは国内の所得金額に基づいて扶養控除が利用できていたけど、送金額は明確化されていなかったんですよ。
扶養控除の金額は?


利用できる扶養控除の金額は、対象となる親族の年齢だけでなく、同居なのか別居なのかという点でも異なります。
4つの区分に分かれた扶養控除は、控除を適用する年の12月31日時点がポイントとなり、間違いやすいので注意しておきましょう。



特に、早生まれの場合が間違いやすいですよ。
12月31日時点の年齢によって扶養控除の金額が違う
4つの区分に分かれた年齢ごとの扶養控除の金額は、以下のとおりです。
扶養控除の区分 | 対象となる人の年齢(その年の12月31日現在) | 扶養控除の金額 |
---|---|---|
一般の控除対象扶養親族 | 16歳以上、19歳未満 23歳以上、70歳未満 | 38万円 |
特定扶養親族 | 19歳以上、23歳未満 | 63万円 |
老人扶養親族(同居老親等以外) | 70歳以上 | 48万円 |
老人扶養親族(同居老親等) | 70歳以上 | 58万円 |
大学生に進学する年代の子どもを持つひとは、教育費が大きくなることから「特定扶養親族」として扶養控除が63万円と、最大の金額となっていますね。
「同居老親等」とは、70歳以上の扶養親族のうち、所得者やその配偶者の父母や祖父母など直系尊属であり、同居しているひとを指します。
70歳以上の扶養控除は同居と別居で金額が異なる
別居している親や配偶者の親と、生計を一にしている場合は、「老人扶養親族(同居老親等以外)」となり扶養控除の金額は48万円となります。
扶養控除の金額が58万円となる同居の場合と比べると、10万円の差が出てしまうのです。
では、老人ホームなどで暮らす親の生活費などを仕送りしている所得者の場合は、どうなるのでしょうか。
国税庁では、「同居老親等」について以下のように記されています。
老人扶養親族のうち、あなたや配偶者の直系尊属(父母、祖父母など)で、あなたや配偶者との同居を常としちえる方(※)をいいます。
(※)老人ホームなどへ入所している場合は、同居を常としているとはいえません。
国税庁「専門用語集」より引用
残念ながら、老人ホームは別居としてみなされ、扶養控除の金額は48万円となってしまいます。
扶養控除、誰が利用する?利用の方法は?


扶養控除を利用するのは、扶養している人がいる所得者ですが、夫婦共働きの場合は所得が多い方が、扶養控除を利用した方が、節税に役立つと言えます。
なぜなら、日本の所得税は超過塁審課税制度となっており、稼げば稼ぐほど所得税の税率が高くなってしまうのです。
そのため、年収が高いひと、つまり税率が高い所得となるひとが扶養控除を利用した方が、より税金の負担を軽減できることになります。
会社員なら年末調整で扶養控除を利用できます。ただし、給料による年収が2,000万円を超えるひとや、年末調整の対象とならない会社員の場合は、所得税を申告する必要があるので、確定申告をおこないましょう。
年末調整をする会社員
会社員は、事業所に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出しましょう。
記入する項目は、以下の内容があります。
- 【所得者本人の情報 】氏名、マイナンバー、住所
- 【扶養控除の対象となる人の情報】親族の氏名、マイナンバー、続柄、生年月日など
年末調整の場合は、会社が扶養控除の金額を確定してくれるので、間違うことはないと思いますが、源泉徴収票で必ず確認しておきましょう。
確定申告をする場合
確定申告では、自分で扶養控除の金額を記載する必要があるので、間違わないように気をつけておきましょう。



12月31日時点の年齢で計算しましょう!
また、扶養控除の金額だけでなく、確定申告書「第二表・配偶者や親族に関する事項」の欄に、扶養親族の対象となる人の氏名やマイナンバー、続柄、生年月日などを記入することも忘れてはいけません。
そのうえで、確定申告書「第一表・所得から差し引かれる金額」の扶養控除の欄に、該当する扶養控除の金額を記入します。
扶養控除を上手に使って節税しよう!
扶養控除は、所得金額から差し引くことができるため、節税に繋げることができる大切な所得控除です。
同居している親族だけでなく、別居している親族でも、生計が同一なら扶養控除を利用できます。
ただし、扶養控除を利用しようとする年の12月31日時点の年齢によって、扶養控除で利用できる金額が異なるので、間違わないようにしておきましょう。
扶養控除を利用できる条件は6つ、2023年から、30歳から69歳の国外居住親族の扶養控除の条件が追加されています。
ぜひ、扶養控除の利用方法を知って賢く節税してくださいね。
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