住民税ってどう計算される?住民税の課税される年収は?所得税の申告から住民税が決まる!

所得税は会社員であれば年末調整、フリーランスなど事業を行っている人なら確定申告で決まることはよく知られています。では、住民税ってどのように計算されているかご存知でしょうか。
コロナ過のいま、住民税非課税世帯と言った言葉をよく耳にするようになりましたが、収入があると必ずしも住民税が課税されるというわけではありません。
所得税と住民税の違いを知り、住民税のことをより理解した上で次回の年末調整や確定申告では、気合いを入れて申告に臨んでいただきたいと思います。
そもそも所得税と住民税ってなにが違う?

所得税や住民税は、その役割や管轄が全く違う性質と持つ税金となっています。
会社員の場合、給与から天引きされている方が多いのであまり気にしていないという方も多いのではないでしょうか。

給料明細に住民税とか書いてたっけ?住民税が引かれてることすら知らんわ。



きっちり引かれてるで。ちなみに所得税と住民税の違いって知ってる?



両方とも税金やろ。税金ばっかり引かれるもんな・・・



ちなみに2つの税金は、しっかり計算したら減ることもあるねんで。
我が家の旦那くんのように税金を少しでも減らしたいと思っている人は多いと思います。それでは、所得税と住民税の違いや仕組みを解説していきたいと思います。
まずは、住民税の金額が決まるまでの話をする前に、所得税と住民税の違いを知ってみてください。
所得税ってどこに納められる?所得税の管轄はどこ?


会社員の給与やフリーランスなどの事業収入が、年末調整や確定申告で所得税の申告が必要となることはご存知の通りです。



それは俺も知ってるで。この前、会社員の確定申告のことで教えてくれたもんな



そやな。そしたら年末調整とか確定申告で計算された所得税の管轄とかも伝えとくわな。
年末調整や確定申告を行って確定した所得税は国税となり、税務署の管轄となります。会社員が行う年末調整は、個人による税務署とのやり取りはありませんが、年末調整を行った会社は所得税の申告を個人に変わって税務署へ届け出ています。
もし会社員が年末調整後に確定申告を行うという場合には、年末調整ですでに税務署へ届け出ている所得税の申告を修正するといった意味になります。



だから会社員でも必要やったら確定申告できるようになってるんやな。



そうやねん。でも会社員やからって年末調整で終わったと思ってたらあかんねんで。
地方税となる住民税はどういう流れで決まる?


所得税は国税と前述でお伝えしましたが、住民税は地方税となります。この地方税は、税率を地方ごとに決められており必ずしも全国一律というわけではないので、ご自身の住民税率はお住まいの自治体で確認していただく必要があります。



住民税が高い所もあるって聞いたことあるわ。俺んとこは安いんかな?



住民税の差は微々たるものやねんけどな。どうしても住民税に差が気になるんやったら、あとでちらっと説明するわな。
会社員の場合は勤め先で年末調整が行われた場合、税務署だけでなく市役所や区役所へも同時に所得の申告を行われます。
年末調整後に確定申告を行った場合には、その確定申告での内容が確定した所得税となり、後日改めて税務署から市役所や区役所へ所得の内容が送られることになります。
- 年末調整の場合
-
勤め先から税務署へ届け出され所得税が決定される。同時に市役所や区役所へも届出され住民税の申告となり住民税が決定される。
- 確定申告した場合
-
税務署で届け出た内容で所得税が決定される。確定申告をした時点で住民税の申告をしたものとみなされ申告内容は税務署から市役所や区役所へ申告内容が送られる。
ちなみに住民税と一言でくくっていますが、住民税は2つの税金が組み合わさっています。



そーなん⁉2つも税金払ってるってこと⁉
住民税は基本的に、都道府県民税(4%)と市町村民税(6%)の2つで計算され、課税所得に対して約10%程の住民税となっています。



県民税っていうのが都道府県民税、市民税っていうのが市町村民税。市県民税とか呼ばれてる税金やな。
しかし、例外もあって都道府県民税や市町村民税が住んでいる地域によって若干ですが相違する場合もあります。これが住民税の高い・安いに繋がっているのです。



そういうことなんかぁ・・・
2018年から政令指定都市では、都道府県民税(県民税)と市町村民税(市民税)の税率割合が変更となり4:6→2:8となっています。
政令指定都市には、神戸市・大阪市・名古屋市・京都市・横浜市・北九州市・札幌市・川崎市・福岡市・広島市・仙台市・千葉市・さいたま市・静岡市・堺市・新潟市・浜松市・岡山市・相模原市・熊本市の20市があります。
指定都市の一覧はこちら≫≫ 総務省「指定都市一覧」
2つの税金で成り立つ住民税。気になる金額は?


住民税の基本を知ったところで気になる住民税の金額について解説していきます。
先ほど2つの税金(市県民税)を合算して住民税になっていることを知っていただきましたが、次は住民税に対する金額の仕組みについて知っていただきたいと思います。



これ、よくわからんねんなー。住民税非課税世帯とかって最近聞くけど、働いてないことが前提やろ?



住民税非課税世帯に給付金ってやつやろ?とりあえず住民税の金額についての仕組みがわかったら「なるほど」ってなるかもなぁ。
住民税はそれぞれに均等割と所得割が2つ組み合わって計算されています。簡単に言うと携帯料金でいう基本料金とプランによる料金のようなイメージでになります。
平等な金額となる基本料金「均等割」


住民税における均等割とは、すべての人が支払うべき住民税となっており、均等割は収入に関係なく基本料金として課せられる税金となっています。



めっちゃ稼いでる人も同じ金額なん?せこくない?



あくまで基本料金やからな。所得が300万の人も1億円の人も同じ均等割の金額やで。
ただし、基本料金ですべての人が同額である均等割ですが、前述で申し上げた地域による差が均等割には関係してくることになります。
- 都道府県民税(県民税など):1,500円
- 市区町民税(市民税など):3,500円
基本的には上記の2つを合算して年間5,000円が、支払うべき住民税の基本料金となる均等割になります。
平成26年度から令和5年度までは基本的にこの標準税率が適用されて住民税が計算されていますが、一部の地方自治体では、環境保全などにより多少の増税を取り入れているケースや、逆に少し減税されているケースがあります。
所得に応じて決まる「所得割」


住民税の金額を構成する2つのうち、1つは均等割でしたがあと1つは所得割となります。住民税が人それぞれ金額が違うのは、この所得割が関係しているのです。



所得ってことは・・・年収が関係するんやな⁉



今日は冴えてるやん。収入から税金を計算するから所得金額が関係するねん。
年収と所得は違うので、所得について知りたい場合はこちらの記事を参考にしてみてください。


住民税における所得割は、所得に対して一定の税率をかけて計算しています。
所得割の計算は、所得税の計算方法と同じ内容の流れなので、源泉徴収票の見方や確定申告の方法を知っていれば、所得割の計算はわかりやすいと思いますよ。
- 都道府県民税(県民税など):4%
- 市区町村民税(市民税など):6%
上記2つを合算して所得に対する10%が、住民税の所得割で計算する税率の基本となっています。
ただし、この所得割も均等割のように市区町村で税率を設定できるため、必ずしも税率が全国統一ではなく若干の相違がありますが、大差はありませんので住民税の所得割とは所得の10%と覚えておいてください。
住民税が非課税になるってどんな人?


新型コロナウィルスが世界中を脅かし、日本でも給付金などにおよる生活に対する救済制度があります。
中には住民税非課税世帯のみが対象といったケースもあり、すべての人が平等に制度による救済とはならないケースが多いように感じます。



俺もこれ知りたかってん。住民税の非課税って、要は働いてたらあかんのやろ?



働いててもいいんやけど、所得が一定以下っていう条件に当てはまるかどうかやな。
基本的には所得がない人が住民税非課税となるのですが、所得金額によっては住民税が非課税になるケースもあります。
- 生活保護を受給している
- 未成年、寡婦、ひとり親、障がい者の方で所得額が135万円以下の場合
- 所得額が各地方自治体で定める所得基準の以下となる場合



所得基準以下ってどれくらいの収入なんかが気になるわ。
給与所得-各種控除額=自治体で決められた所得以下
※自治体によって設けられた所得基準を確認しすることで、非課税世帯となるか確認することができます。
1つ例を出して考えてみたいと思います。
- 本人に扶養がない場合:45万円
- 同一生計の配偶者や扶養親族がいる場合:(本人+配偶者+扶養親族の数)×35万円+21万円
これらから考えると、独身で扶養がいない場合は本人のみとなるので所得基準は45万円です。
給与収入から給与所得控除を差し引いた金額が45万円にならなければならないことになるので、給与所得控除の表にある一番所得が低額の給与所得控除額55万円を利用して逆算みると一定の所得と言われる金額が判明します。



55万と45万を足した100万ってことやな⁉



そういうことにやな。
給与収入-55万円(給与所得控除)=45万円(所得基準)となるには、55万円+45万円=100万円が給与収入となるわけです。
夫婦2人が住む市で不要のない独身の場合、住民税の非課税世帯となるには、所得基準以下の収入となる年収100万円未満であることが条件となるのです。



でも月8万3,333円ってことやろ?コロナじゃなくても生活できひんな・・・
夫婦と子どもの3人家族の場合なら、35万円×3人+21万円で計算される所得金額以下なら住民税の均等割が非課税ということになります。
給料から給与所得控除を差引いた金額が126万円未満となるようにするためには、年収190万円程度であれば非課税世帯としてみなされることになります。



ただし、所得控除が利用できる場合にはこの限りではないので、よく計算することが必要です。
- 均等割が非課税になるのは?
-
- 独身の場合・・35万円
- 配偶者や扶養親族がいる場合・・・(本人+配偶者+扶養親族の人数)×35万円+21万円
- 所得割が非課税になるのは?
-
- 独身の場合・・・35万円
- 配偶者や扶養親族がいる場合・・・(本人+配偶者+扶養親族の人数)×35万円+21万円
給付金の申請基準などで、住民税非課税世帯という条件にあたるのは住民税の均等割が非課税である必要が多いため、間違わないように注意しておいてください。
年収103万円以下なら税金がかからないって本当?


103万円未満なら税金はかからないという言葉を聞いたことはありませんか?103万円の壁という言葉で知られていることが多いと思います。
せっかく103万円以内で働いていたのに、なぜか住民税はしっかり課税されたという話を耳にすることがあります。なぜ住民税が課せられたのかは前述の通りで、所得税の課税は免れたものの住民税は課税される収入だったということです。
ここで、よく間違われる103万円の壁について少し触れておきたいと思います。
所得税と扶養と所得控除・・・3つのボーダーラインの違いは?


よく間違われやすいものが一定の所得を超えると扶養から外れると言われている年収に対するボーダーラインです。しかし扶養については106万円の壁や130万円の壁と言われるものとなります。
103万円のボーダーラインは、年収103万円を超えると超えた収入額に対しての所得税を払わなければならなくなりますよという意味で103万円の壁と言われています。
子どもがアルバイトを始めたり、主婦がパートで仕事をする場合は気をつけなければならない103万円や130万円の壁ですが、これらはあくまで社会保険上の扶養内で働くという意味であることを覚えておいてください。



ほんまに勘違いされやすいから気をつけてな。
税金の面で考える場合には、所得がある配偶者用として配偶者特別控除がありますが、2018年以降は配偶者特別控除における満額控除のラインが150万円まで引き上げられています。
したがって150万円まで給料を得たとしても、通常の配偶者控除と同額の控除を受けることができるので、夫にとっての税制上の優遇は特に変わることはないので、安心して働いても大丈夫ということになります。



所得税を払うのんと、扶養のんと税金のボーダーラインか。ややこしいな・・・
年収いくらになると住民税がかかるの?


年収が100万円を超えると住民税が課税されます。なお、地方自治体により若干の違いがありますので、必ず確認が必要となります。
非課税になる給与を目途に働いたつもりが、なぜか税金がかかってしまったというパターンです。103万円以内であれば所得税は課税されませんが、100万円を超えると住民税の支払い義務が発生します。



完全に税金払わんと働くなら年収100万円ってことか。
究極の話となりますが、101万1円という年収だった場合には住民税の納税義務が発生し、まず均等割が課せられるので基本的な金額では年間5,000円の均等割額を支払わなくてはならないということです。



難しいなぁ…計算しながら働けるもんなん?



毎月のお給料をしっかり管理していくしかないわなぁ…
間違いやすいので覚えておいてください。
- 100万円未満:所得税も住民税もかからない
- 100万円~103万円未満:所得税はかからないが、住民税は課税される
- 103万円以上:所得税と住民税が課税される
- 106万円以上:扶養から外れる
気をつけよう!所得税と住民税では控除の金額が違う⁉


所得税の申告では、年末調整や確定申告の際に利用可能な所得控除を利用したと思いますが、住民税の計算の際にも所得税申告のときに使った所得控除を使うことになります。
ただし内容は所得税と同じ控除ですが、控除の種類によっては所得税の控除額より住民税での控除額が少なくなることには注意が必要です。



控除の金額が減ったらなんか影響あるん?



簡単に言うと控除が減ると税金が多くなるってことやな。
住民税の計算になると同じ種類の控除でも金額が少なくなり、予想していたより住民税の金額が多かったというケースが発生してしまう場合があります。
どれくらい金額が違う?所得税と住民税で使う所得控除


住民税を知る上で避けて通れないのが、この住民税における所得控除の金額についてです。ここは住民税の計算においての基礎情報となるので、必ずチェックしておいてください。
以下は所得税と住民税で、控除額が相違する控除の種類となるので参考にしてください。
控除の種類 | 所得税 | 住民税 |
生命保険料控除 | 上限 12万円 | 上限 7万円 |
地震保険料控除 | 上限 5万円 | 上限 2万5,000円 |
障害者控除 | 27万円(特別:40万円) ※同居:75万円 | 26万円(特別:30万円) ※同居:53万円 |
寡婦控除 | 27万円(特別:35万円) | 26万円(特別:30万円) |
ひとり親控除(寡夫控除) | 27万円 | 26万円 |
勤労学生控除 | 27万円 | 26万円 |
扶養控除(一般) | 38万円 | 33万円 |
扶養控除(特定) | 63万円 | 45万円 |
扶養控除(同居老親以外) | 48万円 | 38万円 |
扶養控除(同居老親) | 58万円 | 45万円 |
配偶者控除(一般) | 38万円 | 33万円 |
配偶者控除(老人) | 48万円 | 38万円 |
配偶者特別控除 | 38万円 | 33万円 |
基礎控除 | 48万円 | 43万円 |



ほとんどの控除なんちゃうん?しかもめっちゃ金額が違うやん。



そやろ?この控除の金額の差が意外と大きくて所得税と変わってくることがポイントやねん。
所得税と住民税とでは控除の金額に差があり、所得税に比べて住民税の控除の方が低く設定されていることを知っておくことが住民税を知る上で大切です。
所得税と住民税の控除額が同じ種類の所得控除はこちらです。
- 雑損控除
- 医療費控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 寄付金控除(ふるさと納税)
所得税の申告が計算がもとになって住民税が計算されています。ということは、所得税の計算時に控除を利用していなければ、所得税から自動的に計算される住民税の計算では所得控除を受けることができないということです。
つまり、年末調整や所得税申告で所得控除を使った場合のみ、住民税の計算時に所得控除が使われるということになるのです。



まじか!?
「所得税は計算上かからないから医療費控除は利用しない」というケースで「住民税での計算では所得控除が足りずに住民税が高くなった」ということが起こりうるので注意が必要です。



「まぁいいわ=税金多く払ってもいいわ」にならんように気をつけてな。
住民税の計算方法は?


住民税を考えるとき、計算が必要になるのは所得割です。この所得割の計算方法は所得税の計算とそっくりなので難しいことではないと思います。
所得税の申告時に控除漏れがないように所得控除を利用していれば、わざわざ住民税を計算する必要はないかもしれませんが、少し知識を総動員してみると所得税の計算結果から住民税を予測することができるようになります。



この方法を覚えたらすごく役立つねんで。
ここでは、簡単に住民税の計算についてお伝えするので、住民税の計算に挑戦するという奇特な方がいれば参考にしていただければと思います。
所得税を申告するときと同じように計算するので、確定申告を行ったことがある方には馴染みのある計算式になると思います。会社員で確定申告を行っていないという方は、源泉徴収票の見方について予習をしていただければ、少しわかりやすいと思います。





予習の必要がない人は、このまま先へ進みましょう。
所得税と住民税の所得控除に対する金額の違いさえ間違わなければ、住民税における所得割の計算はそんなに難しいものではないので、安心してください。
住民税「所得割」における計算の流れ(一般的な住民税税率10%が適用となる場合)
- 総収入から総所得額を計算する。
- 総所得額-所得控除の合計額=課税所得額
- 課税所得額×税率10%=税額控除前の所得割額
- 税額控除前の所得割額-税額控除の合計額=税額控除後の所得割額
- 税額控除後の所得割額+均等割額=住民税
国や自治体からの補助や給付金などがある場合、住民税が基準となるケースが多々あります。
忙しくてついつい放置してしまいがちな所得税の申告で所得控除を使っておらず、住民税ではちょっとの差で恩恵を受けることができなかったと嘆くことがないようにしてくださいね。
【まとめ】住民税が決まる元になるのは所得税!申告はしっかり行おう
年末調整や確定申告による所得税の申告まではきちんと計算しているのに、住民税までは気にしていないという流れになっていませんでしたか?
もし所得税での申告で控除漏れがあったら住民税の計算に影響することになり、所得控除の金額分を損してしまうことに繋がります。
- 所得税と住民税の違い
- 住民税を構成する「均等割」と「所得割」と「非課税」
- 100万円以上で住民税、103万円以上で住民税+所得税
- 所得税と住民税では控除の金額が違う
- 住民税の計算は所得税の計算の流れと似ている
ポイントを絞って覚えれば、住民税の計算もあっという間にできてしまうようになることができます。ただし、住民税は全国一律の税率ではなく、各市町村で税率を決定しています。
ご自身の住民税を計算する場合は、必ずお住まいの市町村のホームぺージで必ず確認するようにしておいてくださいね。
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