うつ病体験記③~強靭な蓋はもういらない!本来の自分自身を許してあげて~
バウムテストという言葉を聞いたことがありますか?
私も当時は意味がわからずバウムテストを受けましたが、意味はわかりませんでした。しかし、うつ病から脱した今なら当時の結果の意味を理解することができます。
本来の自分自身を受け入れ、自分を許すという気持ちを持ってください。
許すという意味には人それぞれ違いがあり、うつ状態に陥ってしまっている人の心の葛藤を知っていただきたいと思います。
深層心理を見抜くバウムテスト。その結果は?
バウムテストでは、描いた木を自己像に見立て無意識にある深層心理が現れると言われています。
たとえば、凄く温厚な人であっても無意識下では攻撃性を秘めている場合や、自覚のない願望の現れが木の絵に映し出されることがあります。
本人の無意識のなかで悩みや葛藤、自覚のないトラウマなどの深層心理を知ることで、うつ病を患っている本当の心を映しだすものがバウムテストなのです。
大人?子ども?診療内科の先生も困惑した結果
「ものすごく珍しい結果です」と診療内科の先生に言われました。
簡単に言うと、大人と子どもが入り混じっている状態だということでした。
- 安定性が極端で崩れやすい
- 攻撃性に対し必死に蓋をしている
- 他人を受け入れるが信頼や裏切りを気にする
- 無関心を受け入れられない
- 自己否定や劣等感が強い
- 自分自身を否定する強靭な精神力
- 自己像を否定する精神力の強さ
- 子どもの内面を隠すように大人の内面を作り上げる
このような内容でしたが、なんとなく自分でもバウムテストの結果は心にストンと落ちるような内容でした。
そこで先生からの言葉は「まず自分を許しなさい」ということでした。
本当の自分には蓋をした過去
もういつの頃だったか記憶にはありません。幼かった時期、私は本当の自分に蓋をしたような記憶があります。
うつ病を患っていた時期、いまから考えると蓋を開けた子どもの自分が出てきたような体験をした記憶があります。それが本来の自分自身だったのではと今では思います。
たとえば、親しい人との会話の中で、自分が思っていることを正直に伝えることができますか?
誰しも相手の気持ちを考え、話を合わせたり気持ちとは反対の言葉を発することもあるかもしれません。
しかし、もし自分の気持ちにすべてを蓋をしてしまったら・・・どうなるでしょう。
自分の気持ちに蓋をしてしまい、自分自身をも見失う。
喜ぶことも悲しむことも、もちろん怒ることも自分の気持ちからではなく、周りの空気を察して同調する。それが私の生き方でした。
なんだか面倒くさい生き方ですよね。でも、たぶん誰にも悟られたことはなかったと思います。それだけ自分自身を偽ったり隠したりすることに長けていたようなのです。
強靭な蓋を開け、自分自身の開放へ
今まで大きな蓋をしてひた隠しにしてきた自分自身を表に出す。簡単なようで難題です。
しかし、それが私にとって唯一のうつ病と付き合いながら生きていく方法でした。いま深層で蓋をしている自分自身を開放することは、簡単なようで困難な作業となりました。
隠す努力が当たり前な状態から、表に出す努力という正反対の努力が必要になったからです。
自分自身の蓋とは何なのかを知る
まず自分自身の気持ちに対して向かい合うことから初めてみました。本来なら、子どもの頃に成長とともに少しづつ作られる人格ですが、私は蓋をしてしまったため蓋を取り除くことが必要となりました。
なんだか難しい話で、うつ病を患っていた当時の私は頭が働かなかったのですが、素直に思ったことを口にしたり行動したりすることが1番の課題でした。
- なんとなく嫌だけど我慢する
- やりたいことを我慢する
- 焦って努力する
- 嫌だと言葉にする
- 思いついたことをする
- 休息を受け入れる
どう違うかわかりますか?確かに、我慢も努力も大切なことで、人が生きていくためには欠かせないものです。
しかし、うつ病を患って気がつきました。我慢や努力ばかりでは、心が休まることもなく充実感を失ってしまうのです。充実感は生きる力そのものへと繋がっているのです。
純粋に人が心の中で思い描く、他者へ伝えたい自分の思い
必要以上の我慢を自分に強いてしまう。そして自分の思いを他者へ伝えられなくなる
自分自身の気持ちに蓋をして、他者が望むようないわゆる「良い子」ができあがる
本当の自分自身を出せる場所が減ると、生きる活力や精神力も比例して減っていく
本来の自分自身に強靭な精神力で蓋をし続け、精神力が不足すると不安定となる。
充電をしながら頑張っても、常に精神力はフル回転でいつかは底をつく
こうして私は、強靭な精神力で本来の自分に蓋をし続けてきたにもかかわらず、日々を子育てや仕事に追われることで強靭な精神力を保つことができなくなりました。
結果として自分自身を制御し続けることができずに心が悲鳴を上げることになりました。
精神力も蓄える時間がなければ、底をついてしまうんよね。
蓋をする精神力が弱まると、本来の自分自身が顔を出します。しかし、ひた隠しにしていた本来の自分は、すでに自らが受けられなくなってしまっているのです。
強靭な蓋を開けること。そこから全てが始まる
うつ病を患っている人に「頑張ってね」という言葉が禁物なのは有名な話です。実際に、私もその言葉で辛い思いをしました。
頑張るという言葉に過敏になってしまう心情は、また次のお話にしたいと思いますが、ここでいう本来の自分自身が出てくることによる心の葛藤には、頑張って勝つ必要があると私は思っています。
頑張る意味を間違えたらあかんねん
- 本来の自分自身を許す
- 本来の自分自身を出し、受け入れる気持ちを持つ
- 受け入れた自分を、それも自分自身なのだと許す
私は本来の自分自身は他人から受け入れてもらえない、だから許すことができないと思い蓋をしてきました。それも人並みならぬ強靭な精神力を保ち蓋をし続けて生きてきました。
それを精神内科の先生は、子ども時代の気持ちに蓋をしたまま大人になっているとおっしゃっていました。今ならその意味がわかるような気がします。
でも、今さら自分自身を出すと言っても、何が本来の自分自身なのかわからない。
いわゆる良い子で生きてきた私は、本来の自分自身を見失っていました。それは蓋をした幼少時代に遡り、私のなかにはきっと子どものまま成長できなかった私自身がいるような気がします。
もし今、うつ病を患い苦しい思いをしているなら、少しだけ考えてみてください。
- してみたいと思うことは何ですか?
- 逃げ出したいと思っていることは何ですか?
- 好きなこと、嫌いなことは何ですか?
誰にも内緒で紙に書き出してみてください。何でもいいんです。誰も見ないので安心して自分の思う通りに書いてみてください。
誰にも内緒で少しだけ我慢の蓋を開けてみてください。そして、蓋を開けることを恐れず、自分自身が望んでいることを許し受け入れてあげてください。
内緒のメモやから、自分が責めなければ誰も責めたりしないで。
本来の自分を出す怖さと葛藤
本来の自分自身を出すことを怖く感じる気持ちはよくわかります。
必死に良い子を演じてきたのに、演じることをやめた自分を周りはどう見るのかと思うと怖くなってしまいますよね。
でも、本来の自分と今の自分が入れ替わるわけじゃありません。必要以上に怖がる必要はなかったのです。
共同生活をする気持ちで受け入れてあげよう
今まで強靭な精神力で本来の自分に蓋をして、全力で蓋が開かないように押さえつけていたと思います。
その力を少し抜いて、先ほど書いた内緒の紙をもう一度見てみてください。ちなみにうつ病で休職していた私が書いたのは恥ずかしいような内容でした。
- DIYをしてみたい
- 副業で少しでも稼ぎたい
- 旅行に行きたい
- 誰とも話したくない
- 美容室に行ってイメチェンしたい
- 100均で爆買いしたい
しようと思えばいつでもできそうな内容ですよね。それでも、当時の私はこれらの行動をすることが許せなかったんです。
何かと理由をつけることで、我慢という蓋で気持ちを覆いかぶせていました。
- 仕事があるのに時間にゆとりを持つことは許せない
- 子どもにお金がかかるから無駄遣いできない
- 営業の仕事だから話さないわけにはいかない
- 仕事で認められるために派手になってはいけない
バツイチで子育てもあるから、しっかり生活しないとあかん!
ある意味、強迫観念なのです。自分の気持ちを切り捨てなければ、良い子を継続することなんてできません。だから、自分の気持ちを切り捨てることが当たり前だと思ってしまっているのです。
でもね、良い子を継続しなくていいんですよ。理由をつけて切り捨てている本当の気持ちを、少しだけ自分の中に住まわせてあげてください。
書いた紙をもう一度見てみよう。できることから始めてみませんか?
本来の自分を覆う蓋を強靭な精神力が減り、仕事や日常を送るための精神力を蓋を支える方へと費やしていく。
結果的に、精も根も尽き果てるという状態になってしまったのが当時の私だったので、すぐに動きだすという力は湧いてきませんでした。
買い物も嫌!行きたくない!動きたくない!
だったら飽きるまで家に閉ってみましょう。希望するならベットで1日過ごしたっていいんです。
なぜなら、それが今のあなたが希望していることだからです。自分自身が否定せず、ありのままの気持ちを受け入れてみてください。
うつ病を患ってしまったら心の充電が必要なんです。身体を動かすための心の充電をして、充電が溜まるまでは我慢や頑張りは必要ありません。
もちろん身体を動かしたいと思ったら動かしてみましょう。朝日を見たいと思ったら早起きし、星が見たいと思ったら晴れている夜中に起きて空を見上げてみましょう。
思いついたことに理由はつけずにやってみよう!
心の思うままに行動してみましてみてください
うつ病を治そうとする前に、まずは本来の自分自身を受け入れ、思いついたことは否定せずに自分自身を許してあげることから始めてみてください。
【次回予告】うつ病で苦しむ人との向き合い方や接し方
体験記③では、本来の自分自身を受け入れ、そして許すことの大切さについてお伝えしました。
うつ病を患ったとき、治療することばかりに気をとられ、「早く治さなくちゃ」「早く頑張らなくちゃ」と思いがちですが、我慢や行動などに対する頑張りは、いまはその時期ではありません。
自分自身がどうしたら良いのかわからないという状態になっているのであれば、まずは素直な自分の気持ちを受け入れることに力を注ぎましょう。
次回は、どうやって接したら良いのか悩んでいる家族や友人は、うつ病で苦しむ人にどういった対応をすれば良いのか、私の体験をもとに綴っていきたいと思います。
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